大起がご提供する加工要件です。

加工できる材質

ワイヤーカットは放電加工ですので、通電さえすれば、材質の硬度・靭性・延性に関わりなく、どんなものでも加工可能です。

加工できる

  • ダイス鋼・ハイス・超硬などの難削材・超難削材
  • チタン・ニッケル・モリブデン・ベリリウムなどの特殊金属
  • インコネル・ハステロイなどの耐熱合金・超耐熱合金など各種特殊合金
  • 焼結ダイヤ・マグネット類・グラファイトなど

加工できない

  • 電気が通らない材料は全く加工できません。
    (非導電性の)プラスチック類
    (非導電性の)セラミックスや岩石
  • 金属でも、導電性のない表面処理が施されたものは加工できません。
    アルマイト・ホーロー・フッ素加工など
    この場合、表面の一部を削って通電すれば加工できることもあります。
  • 金属でも、焼入れで表面が異常に変質したものや、いわゆる黒皮が厚いものなどは、表面を削らないと加工できないことがあります。
  • 放電加工には加工液が不可欠です。加工液として水を利用しているため、水に濡らせないものは加工できません。
  • 溶接跡などで「す」の入った部分や、材料中に不純物が多い場合、結晶の粒子が非常に不ぞろいな場合など、放電が安定せず、事実上加工不能な場合があります。

精度

ワイヤーカットによる精密加工は、粗加工で100分の数ミリの精度を持っています。
より高い精度を求める場合は、仕上げ加工を行います。この場合には1000分の数ミリの精度が実現でき、研磨や治具研削に迫る精度が得られます。

  • 材料に焼きを入れてから加工できるので、焼きひずみによる寸法誤差やピッチ誤差の心配がほとんどありません。
  • ワイヤーカット加工の特性として、板厚が大きくなるほど平面性(真直性)が落ち、寸法精度も下がってしまいます。目安としては、板厚が5~40mm前後の場合に、最も高い寸法精度が得られます。
  • 材料の形状や材質によっても加工精度は変化します。板厚が一定で、上下面に加工ノズルが密着できるような場合が、最もよい条件といえます。
  • 精度を落として、その分高速に加工することはできません。精度を必要としない加工にワイヤーカットを使うと、通常の機械加工に比べ加工費が割高になります。

最大寸法

弊社保有の各加工機の加工可能寸法は、主要設備のページをご覧下さい。

  • 加工ストロークとは、一度に(ワンチャックで)加工できる範囲のことですが、弊社保有の精密放電加工機の場合、最大800mm×600mmです。
  • 加工機上に積載可能な最大寸法は1200mm×1000mmとなっております。
  • 積載可能な最大高さは310mmです。ワイヤーカットの特性上、加工厚がこれを超えるワークを加工するのは、時間と費用の面で現実的ではないでしょう。

微細加工

電極がコンマ数ミリと細い上に、機械的な力をほとんどかけずに加工できるワイヤーカットは、まさに微細加工向きです。

  • 弊社で常時用意のあるワイヤー径は、
    Φ0.1/Φ0.15/Φ0.2/Φ0.25 (mm)
    の4種類です。
  • 最小加工溝幅は約 0.12mm、最小加工Rは約 0.055mmです。
  • ワイヤー径が細いほど加工溝幅や加工Rは小さくできますが、加工速度が落ちるため、加工費は高めになります。

形状

細いワイヤーがNCデータの軌跡を忠実になぞって行く方式のため、作図さえできれば、どんな形状でも加工可能です。

  • 平面的な形状であれば、どんなに入り組んだ複雑な形状でも、工程を分けることなく一回の加工で完成します。
  • その結果、工期の短縮はもちろん、コストの面でも有利です。
    (逆に、単純な形状の場合、ワイヤーカットは割高に感じられます)
  • 歯車の場合、どんなに不正規な歯形や半端なモジュールの場合でも、容易に加工できます。
  • 加工は二次元形状に限りますが、テーパー装置を利用して垂直方向の角度を付けることはできます。

薄物など

非接触加工のため、力がかかると曲がってしまう薄物や、細く弱いものも加工できます。

  • 基本的には、板厚が薄いと加工速度も速く加工費も安価なため、精度を要するゲージ類や小型の冶具はワイヤーの得意分野と言えます。
  • 材料を重ねて加工することで、同一の形状を複数取り出すことができます。このワイヤーカットの特性を生かし、薄い材料の場合は、多数重ねることで、他のどんな加工法よりも加工費が安くなることがあります。
  • 加工自体にはほとんど力がかかっていませんが、加工液を高圧で噴射するため、薄板などは折れてしまう可能性があります。この場合、上下を数ミリ程度の捨板でサンドイッチして加工することになります。

テーパー加工

加工可能な最大テーパー角は、材料の厚みや形状などで大きく変化します。

  • 加工可・不可は個別にお問い合わせ下さい。
  • パンチ/ダイ両取や2段テーパーなど、テーパーを利用した各種加工に熟練しています。
  • プレス型のカス上がり防止加工は、ワイヤーカットの利用で安価に実現します。

上下異形状

上下アームの位置関係を制御し、ワイヤーの倒れ角度を連続的に変化させることで、複雑な立体形状の加工が可能になります。

  • 上下異形状の専用設計環境を導入しています。
  • たとえばノズルの穴などで、入り口が円形で、出口が長方形になったものでも、内部に段差を作ることなく、なめらかにつながった形状で加工できます。
  • オーロラのように、上下の形状が不規則にうねった形状も、作図さえできれば加工できます。
  • 一見して三次曲面にしか見えないような加工も可能ですが、実際には、原理的に二次曲面しか加工できません。これは、ワイヤーが常にピンと張った状態でないと加工できないためです。

面粗度

ワイヤーカットの面粗度は、荒加工でおおよそRy20μm前後(△△)です。

  • 最良面粗度は、材質・板厚・使用ワイヤー径・加工機によって変わります。
  • 通常のワイヤー径(Φ0.2~0.25mm)で、材料が鉄系、板厚が30mmとしますと、弊社の最良面粗度はRy3.0μm前後です(5回加工)。
  • 材質が銅系の場合、最良面粗度はRy5.5μm前後です。
  • 材質がアルミ系の場合、最良面粗度はRy9.0μm前後です。
  • 最初の条件(鉄系)で、板厚が150mmになると、最良面粗度はRy5.0μm前後まで落ちます。
  • 超硬は、板厚5mmから100mmまで、面粗度Ry2.0μmが可能です。
  • ちなみに、鉄系の粗加工での面粗度は、Ry16.0~24.0μm程度です。
  • Φ0.15ワイヤーで板厚10mmの鉄系の材料を加工した場合、最良面粗度はRy1.8μm前後となり、これがほぼ弊社のベストの数字です。

ロット

ワイヤーカットは本来、小ロットの加工に向いた加工方法です。

  • 通常、個数が少ないから加工費が割高になるということはありません。
  • 逆に、多数個の加工でも、他の加工法ほど割安にはならないのが一般的です。(ただし、薄板の重ね加工のように、数によって極端に単価の変わる場合もあります。)
  • 製品の必要数量が、金型を作成するほどではない場合に、ワイヤーカットをご検討下さい。
  • 試作や試験のように、数量が限られた加工には大変向いています。
  • 難削材など、加工が非常に厳しい製品の場合は、数が多くともワイヤーで加工した方が効率的なことがあります。

変形

ワイヤーカットの場合、加工自体の熱や力が原因で起きる変形はほとんどありません。

  • 最も問題になるのは、ワイヤーで切ることによって、材料自体の持っている残留応力が開放されておこる歪みです。
  • ワイヤー加工時の工夫によって、ある程度までは対処できます。
  • 残留応力が大きい場合には、材料自体が割れたり、ミリ単位で変形が生じたりします。こうなると、ワイヤーカットの段階では対処できません。
  • 焼入材の場合には、残留応力を減らすために、適切な焼き戻しが必須です。
  • ワイヤーで切りとる部分が大きい場合には、(焼き入れ前に)捨て切りをして、応力を逃がしてやるのが効果的です。
  • 穴加工の場合、穴に対してふちの部分が細すぎると、歪が避けられない場合があります。
  • 金型の場合にも、切刃形状に対してプレート自体のさん幅が小さいと、プレート全体に歪が出る場合があります。
  • ワイヤーカット加工自体が原因で起きる歪は、微細加工の場合に限られます。この場合は、加工回数や加工条件を検討することによって解決できることがほとんどです。

変質

  • ワイヤーカット加工では、高熱が発生するとはいえ、数万~数十万分の一秒という極短時間のため、熱が材料の一部分に伝わって変質するということはありません。
  • 加工時の熱による影響が許されない、物性試験などに向いています。
  • 加工された表面から深さ数μ~数十μの間は、放電の熱を直接受けているため、変質が起きています。
    この変質層には、一度熔融した金属が再凝固していたり、熱によって焼きが入ったり、微小なひび割れが起きたりしています。
  • 変質層は、仕上加工でかなりの部分まで除去できます。
  • 通常は、変質層が部品の強度や寿命に影響することはありません。
  • 化学物質や高熱、雰囲気などが原因で、変質層の微細なひび割れが成長し、型や部品の寿命を縮めることがあります。このような場合は、変質層の完全な除去が望まれます。
  • ワイヤー加工では、変質層を完全に除去することはできませんので、必要な場合は表面を数十μ研磨するか、ブラスト処理をすれば、完全な除去が可能です。

加工実績

これまでに弊社が加工・納品したものをまとめました。
(メインとなるプレス型・プラ型関連のものは、除いています)

  • キー溝加工
  • 角出し加工(刃物で加工した隅部のRを取り除く加工)
  • プレス型入れ子加工(切刃部の破損・ダレの入れ子修正)
  • セクターギア等、各種ギア歯の加工
  • スプライン・セレーション加工
  • 引き抜き/押し出しダイス・転造ダイスの形状加工
  • バイト・エンドミルの刃先形状加工
  • ダイヤモンドチップ・超硬チップ刃先形状加工
  • コレット・チャックの形状加工・割り入れ
  • シールリング等、リング状部品の割り加工
  • 各種金属工具の加工
  • マグネットの形状加工
  • 電気接点部品の製作
  • 通過ゲージ等、各種ゲージの製作
  • 再研磨ライナー等、各種ライナー・シムの製作
  • 引っ張り試験片等、各種物性試験片の加工
  • 発電機等のタービンブレード・シロッコファン
  • 医療器具・人工関節など各種医療用具の加工
  • 建築金物・土木機械部品の加工
  • 社寺仏閣等の錺金具など、各種錺金物の製作
  • かみそり刃・ミシン刃・トムソン刃・裁断刃・ハサミなどの刃物加工
  • カスタムカー・カスタムバイク部品の製作

材料

材料が必要な場合、お手数ですが、貴社より支給いただくようお願いします。

  • ワイヤーカット加工という性質上、特殊な材料であったり、材料の質が問題になったりすることが多く、弊社で取り寄せた材料がお取引先の想定した基準に合わず、ご迷惑をお掛けしたことが何度かありました。
  • 特に遠隔地のお取引先の場合には、一度問題が起きると、時間や経費のロスなどが、大きな痛手になる恐れがあります。
  • 加工結果や納期を確実にするためにも、材料をお預かりし、加工のみに専念したく考えております。

他の加工

弊社は、ワイヤーカット以外の設備は保有しておりませんので、申し訳ありませんが、形彫放電や機械加工などの加工はできません。

  • さまざまな工程のうちの、ワイヤーカットの部分のみをお手伝いさせていただければ、と考えています。
  • 小規模小人数で、多種多様な加工を引き受けることには、どうしても無理があります。肝心のワイヤーカット加工がおろそかにならないよう、専門という形をとっています。
  • 人的資源をワイヤーカットに集中させることで、難易度の高い加工や、短納期への対応の面で役に立てれば、と願っています。

向かない加工

ワイヤーカットは、大きく分ければ「切る」機械だと言えます。そういう意味では、糸鋸やコンタマシンをイメージしていただくとわかりやすいでしょう。

  • キリやレーザー加工のように、穴自体を開ける加工は不可能です。材料の端面から切り始めるか、あらかじめ開けた貫通穴(スタート穴)からしか加工できません。
  • ワイヤーを通す必要があるので、底付加工はできません。
  • 材料の上や下をアームが通るため、材料は真上や真下からは保持できません。
  • 様子を見ながら徐々に「削っていく」ような加工には向いていません。穴加工の場合は、途中で寸法を確認することも可能ですが、ブロック形状の加工の場合、切り落とすまで寸法の計測ができませんので、全くの一発勝負になります。
  • 板厚が大きく、単純な形状の場合は、コストが引き合いにくくなります。
  • 難削材でなければ、複雑な形状の部分のみワイヤーで加工し、形状の単純な部分や直線部は後から機械で仕上げれば、コストが下げられる場合があります。

細穴放電加工

細い電極を回転させながら、放電加工によって丸穴を加工します。

  • キリなどに比べて、非常に細く深い穴が加工できます。
  • 放電加工ですので、ワイヤー加工同様、ほとんどの金属が加工できます。
  • 加工後の穴径は、電極径プラス0.05mm~0.3mm程度となります。穴径に厳しい公差の要求されるような加工はできません。
  • 穴径を正確に仕上げるには、仕上寸法より小さく細穴放電加工を行い、その後ワイヤーで加工することになります。ただし、この場合は貫通穴に限ります。
  • 電極を入れる箇所の表面の周囲は、放電の影響によって面が荒れたり、変質変色したりします。きれいに仕上げる場合は、研磨しろを残した状態で、先に細穴放電にかけることをおすすめします。
  • 貫通加工・底付加工共に可能ですが、底付の場合は穴深さに±1~3mmのばらつきが出ます。
  • 底付加工の場合、底の形状はフラットではなく、キリで加工した場合のように凹んだ形状となります。
  • 加工機や電極の詳細については、主要設備のページをご覧下さい。
  • 弊社で対応不可能な場合は、協力工場での加工となります。

納期

納期厳守については信頼をいただいております。その上で、短納期にも積極的に対応いたします。

  • 小さな工場ですが、ワイヤーカット機の台数は大企業並みを目指しています。
  • 加工速度の速い新型機を努めて導入し、更なる納期の短縮を図っています。
  • より早い納品を実現するために、ご相談やご提案をさせていただくこともあります。
  • ワイヤーカットは、他の加工に比べると、かなり加工時間のかかる方法と言えます。たとえば、厚さ50mmの鉄板を切断する場合の速度は、1分あたり2~3mm、肉眼では動いているのがわからないほどです。

見積

お見積もりのご依頼は常時受け付けております。

  • 極端な値引きはできませんが、常に少しでも割安に、できるだけ親切に、と心がけております。
  • メールかFAXでデータや図面をお送り下さい。
  • データはDXFに対応しております。図面をメールでお送りいただくのが確実で早い方法です。
  • できれば加工部分・材質・必要な精度(公差)・必要な面粗度をお知らせ下さい。
  • 不確定要素の多い加工の場合、安全率を見込んで、どうしても高めのお見積もりになりがちです。
  • 最初は大体のお見積もりを出しておき、加工が終了してから、再び加工費を計算させていただく方法もあります。
  • 同じ加工でも、材料の取り方によって加工費が大きく変わることがあります。材料をご準備いただく際は、あらかじめご相談下さい。
  • ワイヤーカットには通電が必要なため、金属製のテーブルに直接乗せたり、金属製のツメで直接押さえたりするのが基本です。
    わずかなキズも許されない場合には、あらかじめご相談下さい。

これまで500社以上からミクロン単位の金属精密加工のご依頼をいただきました。
納期、精度、コストを実現するために培った多種多様なワイヤーカット技術がいまの大起を形づくっています。